脊髄損傷の損害賠償について
1|どの等級に認定されるかで差異が生じる
このように、脊髄の損傷といっても、その損傷部位や程度によって様々な等級に分かれていきます。
そして、事故に遭った被害者の方々が、どの等級と認定されるかによって、賠償金額に大きな差異が生じることとなります(以下の表3をご参照ください)。
2|賠償金の代償を大きく左右
逸失利益 後遺障害に基づき被る将来の減収等に対する賠償金額は、どの程度労働能力が失われてしまったかにより決まります。
そして、失った労働能力の程度は、後遺障害の等級によって一定の数値が定められており、この数値が、賠償金の大小を大きく左右することになります。
3|慰謝料金額
後遺障害慰謝料 後遺障害に基づく慰謝料金額も、等級により一定の基準が定められています。
裁判基準では、等級が一つ上がるごとに約400万円から600万円の差が生じます。
4|介護の必要性
将来の介護費用 また、脊髄損傷の場合、四肢麻痺や下肢麻痺が生じますから、重篤であれば、ご家族の方々による介護が必要になります。
この将来の介護費も、被害者本人の損害として賠償の対象となります。
裁判基準によると、基本的には職業付添い人の場合は実費全額、近親者付添人による場合は日額8000円として算定されます。
但し、介護を要する程度やご家族の方々による介護の可否、負担の程度などは個々のケースで違いますから、当然それらの個別事情に応じた判断がなされます。
どのような事情が増額に影響するのか等、複数の裁判例が積み重ねられていますので、それら案件を参考に主張立証し、適正な介護費の賠償を求めることが必要です。
5|損害項目
自宅や車の改造費用等 四肢の麻痺や排尿に関する障害を負えば、階段の昇り降りが出来なくなるなど、日常生活を営むことが難しくなります。
そのため、自宅の浴室やトイレ、出入り口、車の改造費なども賠償の対象になります。
これも脊髄損傷で特徴的な損害項目です。
裁判例では、ホームエレベーターの設置や車いす用の昇降機、バリアフリーの浴室の設置、トイレの改造などの費用が認められています。
ホームエレベーターの設置等をはじめ、改造費用等は高額な出費です。
そのため、どのような改造が賠償の対象になるのか等、知っているか知らないかで得られる金額が全く変わってきます。
介護のため必要を感じる改造費用等については、「こんなものまではダメか。」と負担を抱え込むのではなく、まずは弁護士に相談してください。
表3(労働能力喪失率・保険金額(自賠責)慰謝料金額(自賠責基準と裁判基準))
等級 | 労働能力喪失率 | 保険金額 |
---|---|---|
第1級1号 | 100% | 4000万円 |
第2級1号 | 100% | 3000万円 |
第3級3号 | 100% | 2219万円 |
第5級2号 | 79% | 2219万円 |
第7級4号 | 56% | 1051万円 |
第9級10号 | 35% | 616万円 |
第12級12号 | 14% | 224万円 |
等級 | 慰謝料(自賠責基準) | 慰謝料(裁判基準) |
---|---|---|
第1級1号 | 1600万円 | 2800万円 |
第2級1号 | 1163万円 | 2370万円 |
第3級3号 | 829万円 | 1990万円 |
第5級2号 | 599万円 | 1400万円 |
第7級4号 | 409万円 | 1000万円 |
第9級10号 | 245万円 | 690万円 |
第12級12号 | 93万円 | 290万円 |

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