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後遺障害裁判例

14横浜地判平成23年7月20日

頸部痛、右上肢のしびれ及び右上肢挙上時鈍痛の残存につき、自賠責において14級9号であったものの、判決において12級13号が認められた事例

【事案の概要】

原告(被害者)が、被告(加害者)の前方不注視で原告の車両に衝突したという事故を原因として、頸椎捻挫、外傷性頸椎椎間板ヘルニア及び根性抹消神経症の傷害を負い、頸部痛、右上肢しびれ及び右上肢挙上時鈍痛が残存したとして後遺障害等級認定申請したところ、自賠責で14級9号の認定がされたが、12級13号に該当するとして訴えを提起したのに対し、被告が、原告の後遺障害は頸椎捻挫に過ぎず、14級9号との自賠責の認定手続きが正しいとして争ったものでした。

【判決のポイント】

原告は、後頸部痛及び右上肢のしびれを訴え、事故の3日後から病院で治療を始め、当初のジャクソンテスト及びスパーリングテストの結果はいずれも陰性、徒手筋力テストも異常がなかったものの、MRI検査において頸椎椎体の4番目と5番目の間の椎間板が正中後方へ突出して頸髄を圧迫する頸椎椎間板ヘルニアが認められました。

その後、原告は一貫して頸部痛、右上肢のしびれを訴え続け、通院1、2週間目あたりのジャクソンテスト及びスパーリングテストの結果がいずれも陽性と診断されたのち、約7か月通院後に症状固定とされました。

後遺障害診断書には、傷病名として「頸椎捻挫、頸椎椎間板ヘルニア、根性末梢神経症」、自覚症状として「頸部痛、右上肢しびれ、右上肢挙上時鈍痛」、他覚所見および検査結果として「右上肢の知覚が低下している。筋力右29kg、左34kgと右優位に低下している。スパーリングテスト及びジャクソンテスト陽性を示す。MRIにて頸椎椎体の3番目4番目、4番目5番目で頸髄の圧迫があり症状出現していると考える。」といった記載がされていました。

被告は、椎間板が正中後方へ突出して頸髄を圧迫している事実を争い、また、頸椎椎間板ヘルニアだとしても、それは事故前からのものだと争いました。

裁判所は、原告のMRI画像について放射線科の専門医が撮影当時に頸椎椎間板ヘルニアの所見を述べていること、MRI画像から明らかな髄液の途切れが確認できることから、頸椎椎間板ヘルニアであることを認めました。

また、事故前に原告が頸椎椎間板ヘルニアであったことを認める証拠がないこと、事故態様及び車両の破損状況から事故の衝撃が軽微であったとは必ずしもいえないことから、頸椎椎間板ヘルニアが事故によって生じたものと認めました。

そして、原告が一貫して頸部痛、右上肢のしびれを訴えていたことやスパーリングテスト等の神経学的検査結果を踏まえ、原告の残存する頸部痛、右上肢のしびれについては、頸椎椎間板ヘルニアによるものだと認め、原告の後遺障害は、単に自覚症状があるのみならず、画像検査や神経学的検査によって裏付けられているとして、12級13号に該当するとしました。

交通事故で頸椎捻挫と診断され、MRI画像を見ると頸椎椎間板ヘルニアが見つかり外傷性頸椎椎間板ヘルニアと診断されることがよくありますが、単に頸椎椎間板ヘルニアが見つかったというだけで12級13号に該当するというわけではありません。

この裁判例にもあるとおり、事故直後から症状を一貫して訴えていること、MRI画像で椎間板が頸髄を圧迫していることが明らかであること、神経学的検査が事故後早い段階から陽性であること、圧迫部位や神経学的検査の結果と症状やその部位が合致すること、更には、事故態様や車両の破損状況から衝撃が大きなものといえることなど、自覚症状を裏付ける事実が認められて初めて12級13号が認定されています。

もっとも、12級13号と14級9号との区別について明確な基準があるわけではないことから、同様の事案であっても14級9号にとどまる裁判例も多くあるのが実情ですが、事故直後から一貫した自覚症状及び他覚所見を客観的に残すことの重要性を示すものだといえます。

しかし、残念ながら、医師が診療を生業としている以上、仕方のないことですが、損害賠償において如何に客観的資料が重要となるかについて無関心な医師が多いのが実情です。

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