むち打ちの症状固定と保険
むち打ちの症状固定
症状固定とは、基本的に、「傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待しえない状態で、かつ、残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態」をいうとされています。
言い換えれば、治療を続けてもそれ以上症状の改善が望めないと判断される時点をいい、症状固定後に発生する損害を後遺障害に関する損害として、症状固定前の損害(傷害に関する傷害)と区分する概念です。
医師が作成する後遺障害診断書に記載された症状固定日が採用されることが通常ですが、他覚症状に乏しく、自覚症状が中心のむち打ちの場合、客観的な判断が困難であるため、症状固定であるか否かについて争いになることもあります。
なお、裁判例では、症状固定について、事故の衝撃の程度や治療期間、症状の推移及び治療内容の変化、他覚的所見の有無、症状固定の診断の経緯などの様々な事情を考慮して症状固定日が認定されますが、基本的には、主治医の症状固定との診断を尊重する傾向にあるようです。
むち打ちでの健康保険と自賠責保険
むち打ちの治療に健康保険が使えるかという点に関して、そもそも健康保険は、被保険者(被害者)の付保した保険であり、保険適用の要件が備わっている限り、交通事故による傷病の治療にも使用できます。
自賠責保険との関係についてみても、健康保険を使用していることが影響することもありません。
なお、健康保険は業務外の事由により生じた傷病等について保険給付がされるものですので、業務上の事故や通勤途上の事故による傷病の治療には、健康保険は利用できず、労災保険を利用することになります。
交通事故による負傷に健康保険を利用するときは、第三者行為による傷病届を提出する必要があります(健康保険法施行規則65条、国民健康保険法施行規則第32条の6など)。
健康保険を利用した治療にはメリット、デメリットがあります。
健康保険を使用する場合、診療点数の単価が低くなるため、治療費を抑えることができます。
これは、被害者の方に過失がある、加害者が任意保険に加入していないなどのケースでは、経済的に大きなメリットがあります。
例えば、後者のケースでは、現実的な賠償可能性が加害者の資力に大きく左右されるため、自賠責保険金(上限は120万円)を無駄にできません。
治療費を圧縮できれば、自賠責保険金を治療費で使い切らず、他の損害(休業損害や慰謝料など)をカバーすることができます。
他方で、健康保険を利用した場合、自由診療(健康保険を使わない治療)と治療内容が異なることがあり、自由診療の方が手厚い治療を受けることができる場合があります。
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